





県内
奥出雲の小さな山村は、水を蓄え、資源を育み、食やエネルギーをまちへ送る役割を果たしてきた。そうした山村と町の連なりが都市を育み、あるいは世界と繋がりながら、今日の生活経済文化圏がある。しかるにここ数十年来、圏域をめぐる循環を生み出す源流、山村を底支えする農林畜産業の凋落には底が見えない。人的資本は減耗の一方である。くわえて現在、地域固有の在来作物や採集草木利用の文化がまさに消滅しようとしている。千年を超える時と営為が培ってきた衣食住の民俗知は、一度この世界から失われたら二度と再生できない。
「食べることは生きること」。私たちはこの言葉を噛み締めながら、食をめぐる、深く広がりのある文化を再構築していくことを第一の目的とする。
第二に、農林畜産等の一次産業を根底で支え続けてきた地域固有の伝承知を、生態系管理技術として捉え、現代社会への適応と保全をはかり、人と自然との共生を持続可能なものにしていくことを目指す。
第三に、障害のある人、介護が必要な人、言葉が異なる異文化の人、その他、多種多様な人々が、食べることを通じて共生できる場をつくり出していく。
そして、移行期的混乱の闇の中、先が見えない山村にあって、この団体に集うひとりひとりが、小さくとも強く暖かな灯りとなって、美しい山野を次世代へ手渡していくことを希望する。
(1) 荒廃林・放棄地を焼畑等により再生する事業
(2) 人的資源の減少局面にある中山間地の新たな土地管理手法を開発する活動
(3) 奥出雲と類縁文化圏で消失の危機にある在来作物や草木利用文化を調査研
究し資源化再生する活動
(4) 地域固有の食文化を築き上げていくための社会教育活動
(5) ダムの見える牧場とその周辺地域を拠点とした産業の振興と雇用の創出
(6) 奥出雲の里山自然を活かした体験プログラムの企画開発
(7) 社会福祉に資するとともに上記事業を推進しうるような様々な取り組みの
実践研究
(8) その他、森と畑と牛との目的を達成するための必要な事業・活動
前身となる「竹の焼畑」活動は 2015 年にのべ 163 人のボランティアが参加。2021年現在、「出雲の山墾り」として他団体と協同しながら、里山管理の新たな手法開発(環境保全)と民俗知の保全を主な目的として、実施している。また、団体の拠点となるダムの見える牧場では、農業(酪農)体験を 2015 年には 20 団体、約 1000 人受け入れ、地域の食育に貢献している。現在、この農業体験の発展形として、自然体験と学びの場としていくつかのテストイベントを重ねているところである。
里山再生の手法開発として行ってきた焼畑の作物栽培面を強化する。また、地域で培われてきた食文化の保全。そしてこのふたつの意義と価値を世に問い伝えながら、1次産業の6次化を実現する農産加工品を売り出すための商品企画開発事業に取り組んでいる。
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