東日本大震災を機に、島根のような遠隔地からでも持続可能な支援を模索し、実行している。被災地のニーズ調査や、松江市を中心に県内に広げたネットワークにより、市民が身近に参加し実感できる場づくりに努め、被災地支援のほか、被災により松江市など島根県へ避難してきた方々への支援を継続的に実施。県内で大災害が起きた際の模擬訓練、社協等との連携で災害ボランティア育成事業への道筋を付けた。
東日本大震災の被災地に対し、遠く離れた島根からでもできる支援をしよう―と2011年に立ち上げた。
東北の物産品をイベント等で販売する「東北応援ショップ」では、宮城県石巻市の観光協会などと相談、「あぶら麩(ふ)」やクジラの缶詰などを扱った。物を買うことで手軽に支援ができる上、商品の珍しさもあって人気を呼び、今後、常時販売を検討している。
不要になった農機具を回収、被災地に提供する「幸運の耕運機プロジェクト」では、5台を届けた。車体には、溝口善兵衛知事ら多くの人が応援メッセージを書き込み、送料やメンテナンス料も募金で集めた。協議会のメンバーらが現地へ出向き、その農機具を使ったボランティア活動も行った。
島根県内に避難中の被災者支援では、被災者同士や地元の人々とのネットワークづくりのために聞き取り調査や交流会を行った。
支援活動を通じて協議会の存在が広まるにつれ、「私たちのイベントでも品物を売りたい」「講演会を一緒にやりませんか」などと声が掛かるようになった。チャリティーライブや学生たちとの共同イベントなど、多様な外部団体と組んだ幅広い支援が実現した。被災地の状況が刻々と変わる中で、最新のニーズを優先する臨機応変な対応を心掛けた。
一方、地元での防災啓発活動は、時間の制約等で道半ばの状態だ。被災地で学んだノウハウを生かし、県民の防災意識を高めようと、災害ボランティアセンターの立ち上げを想定した訓練を実施。今年6月には、気仙沼市のNPO法人メンバーを松江市に招いて講演会も開催した。
同協議会では、今後も「防災」をキーワードに、地元住民への働き掛けを強めたい考え。そのため、情報発信に関して、よりスピーディーな収集、市民に伝わりやすい工夫―などの改善点を挙げ、地域の団体や企業と連携して積極的に取り組んでいきたいと決意を新たにしている。
(写真左:支援協議会のキックオフ(発表会)、写真中央:大鍋で約800人分の芋煮を作り、参加者に振る舞った、写真右:ハーベスタに書かれた激励のメッセージ)
POINT:事務局の負担軽減に、行政の支援を
各年代のメンバーが持つ能力を最大限生かした活動ができるよう心掛けている。震災を風化させず、現地の変化に敏感に対応しながら、遠くからでも出来ることを息長く続けていきたい。事務局の負担が大きいので、そこの部分に行政の支援がほしいですね。それによって活動の核ができると思います。
今岡 克己さん
市民への啓発と還元する事業に着手
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