2011年3月11日の東日本大震災で被災した方々を、ボランティア・NPO等の連携によって島根県内、被災地両面から支援。これにより、行政と市民に限らず、市民と市民団体・グループ、自治組織、企業等がそれぞれ対等の立場で協働することで「1+1=3」となる相乗効果を生む活動に積極的に取り組み、被災者の立ち直りと被災地の復興に努める。
出雲市総合ボランティアセンター(登録224団体、356個人)運営委員会を中心とする「東日本大震災いずも支援チーム」が発足したのは、震災発生から5日後だった。
同センターは阪神・淡路大震災を機に1998年に設立された。2001年からは市主催の防災訓練に参加し、災害時のボランティアセンター設置訓練を重ね、2005年にはマニュアルを作成した。
ボランティアセンター運営委員の一人は「これまでの活動の積み重ねもあり、東日本大震災直後からボランティア活動を希望する人や各種の情報が続々と集まり始めた」と話す。翌月には県、市と県・市社協を加えた「しまね東日本大震災被災者支援推進協議会」を結成。「新しい公共」のモデル事業に選定され、活動が本格化した。
被災地訪問は2年間で計31回、約140人が参加した。震災直後は現地災害ボランティアセンターにスタッフやボランティアを派遣、センター支援、がれき撤去や片付けなどを行い、福島においては除染活動にも参加。また、避難所、仮設住宅、保育所訪問などの交流活動も重ねた。現地では「顔の見える支援を」と宮城県亘理(わたり)町に現地連絡スタッフを配置し、リアルタイムの情報収集とともに、現地のNPOとも連携を深めた。
一方、いずも支援チームの特徴として被災地支援だけでなく、地元でできる活動により多くのボランティアが関わった。いち早く被災地からの避難者の支援を行うグループがいくつか生まれ、生活支援を中心に、バザーや支援物資の収集・提供などに努めた。また、避難者との「花見会」などの交流イベントを実施、出雲の情報などを届ける「までえ通信」の発行などきめ細かい支援活動を行い信頼関係を築いた。
震災2年目以降は1泊2日の避難所体験、被災地のNPOスタッフなどを招いた講演や意見交換などを通じて市民に啓発。学習書「災害ボランティア・防災ブック」も作成した。2年間のボランティア参加人数は延べ約2,700人に上る。
支援チームは現在、会員制の任意団体「災害ボランティアいずも支援チーム」に改組。災害発生時に、いち早く対応できるようボランティアの育成や防災啓発活動に継続して力を注いでいく。
(写真左:市内活動について打ち合わせ、写真中央:福島県内で除染活動、準備する会員、写真右:しまね災害ボランティア・防災ブック)
POINT:強み生かして協働、密度の濃い支援活動を
民間のフットワークと柔軟性、行政の情報、社協のネットワーク、学校や公民館の地域力、それぞれの強みを生かしながら協働することで、単独では成し得ない支援を行うことができたと思う。ボランティアを受け入れる「受援力」の重要性もあらためて確認した。震災を風化させないよう支援を継続する一方で、市民への防災啓発活動に力を入れたい。
岸 幹人さん
対等な立場で協働、相乗効果を生む
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