チャレンジNo,4「居場所」を確保、生きがい事業に取り組む

黒沢地区まちづくり推進委員会

浜田市を示した島根県の地図

チャレンジナンバー4の見出しロゴ画像

チャレンジナンバー4のメイン画像、住民の居場所として開設した、有人野菜市「黒沢のてご屋」。いつも楽しい会話が弾む

休耕地で薬草やコウゾなどを栽培する委員会の会員

「黒沢地区まちづくり推進委員会」

黒沢地区は、人口減と高齢化により地域活力の低下が著しい。中でも▽耕作放棄地の拡大、里山の荒廃▽地域の人的・物的資源の減少▽生きがいづくりの場がない―等の現状を目の当たりにし、住民とともに休耕田の耕作や薬草の試験栽培、空き店舗を活用して有人野菜市を開設するなど、モノや知恵を生かした活動を実施。将来にわたって住み続けることができる自立した地域づくりに努める。

空き店舗を利用し「朝採れ野菜市」開設

地区の中心部にある「黒沢のてご屋」には、毎週土・日曜日の朝になると地域の人たちが自ら育て、収穫した野菜や手作りの漬物などを持って次々訪れる。店頭はあっという間に朝採れのみずみずしい野菜や苗、加工品などで埋め尽くされ、開店に向けた準備が進む。

2011年10月、高齢者ら住民の居場所づくりを目的に、15年間使っていなかった空き店舗を改修して開設。住民主体の有人野菜市として、メンバーが交代で週2日間、午前10時から午後2時まで営業している。

6月の土曜日に市をのぞいてみると、商品の持参者やボランティアで店番をする近所の主婦らが「この前は50円で売れんかったけえ、今日は10円でいいわ」「この時季に白菜があるのは珍しいね」「ソラマメは塩ゆでして食べるとおいしいよ」―などと来店客との間でにぎやかな会話が弾んでいた。野菜が品薄になったり、お客さんから要望があれば、その都度、道路を挟んだ向かい側の畑で収穫して対応する。「便利じゃろう。いつもこうしているよ」と店番の女性が笑顔で話した。

店舗は、商いの場としてだけでなく、お茶を飲みながら話をする場にもなっており、昼の時間帯には近隣の人たちも料理を持ち寄り、店番さんと一緒にテーブルを囲むこともしばしば。また、店近くに借りている畑へ行き、野菜や特産・石州和紙の原料であるトロロアオイやコウゾの苗植えなども行う。

地域内の資源を活用して収入を生み出すことはできたが、雇用したコーディネーターを地域で育成する体制づくりと、彼らの取り組みの方向性を示すことができなかったのが反省材料という。将来の目標は、公民館と並ぶ地域の核にすること。店で軽食ぐらいは提供できるようにしたい、という構想も描く。「とにかく、多くの人に来てもらえるよう努めたい」と口をそろえる。

野菜市の向かい側の畑で収穫する委員会の会員会食しながら活動の在り方などを意見交換朝採れ野菜や漬物などを買い求めるお客さんとの会話も楽しみ

 (写真左:野菜市の向かい側の畑で収穫する委員会の会員、写真中央:会食しながら活動の在り方などを意見交換、写真右:朝採れ野菜や漬物などを買い求めるお客さんとの会話も楽しみ)

メンバーから一言

課題解決に取り組む参加団体の図

三浦一夫さんの写真

POINT:高望みせず、自然体でやっていきます

「黒沢のてごや」のようにうまくいっている事業もあれば、失敗例もあり、正直やってみないと分からない。無理をせず、あくまで自然体でやっていくことが大切、と経験してみて感じた。これからも高望みをせず、小さいことでも出来ることから少しずつ、皆が力を合わせて長く続けて定着させたい。
三浦  一夫さん

【主な活動】

物や知恵を生かし、自立した地域へ

◆地域づくり人材育成

平成24年からコ-ディネーター2名を雇用し、休耕田整備と薬草栽培のほか、石州和紙の原料であるトロロアオイ、コウゾの試験栽培を行う

◆荒廃農地、里山整備

地区内の休耕田(1・4ha)を借り受けて稲作、地権者に対し土地代として現物を還元する

◆居場所づくり

地域内の空き店舗を利用して有人野菜市を定期的に開設、野菜や漬物などの販売で地域住民の生きがいづくり、買い物困難者らに役立つ取り組みを実施。高齢者の居場所として定着している。

【問い合わせ先】

〒699-3211 浜田市三隅町三隅1434
(浜田市三隅支所内)
電話番号:(0855)32-2801

事業の成果と課題

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