





隠岐諸島は豊かな自然環境と歴史的背景により有数の観光地として知られているが、近年、観光客のニーズの変化に伴い減少傾向にある。このため、「世界ジオパーク」認定を目指し、ジオツーリズムによる地域・観光振興を目指す戦略会議が発足した。特に、認定後に見込まれる多くの外国人を含むジオツアー客に対応できる組織および人材を養成し、新たな観光形態と収入機会創出のためのノウハウを蓄積する。
隠岐ジオパーク戦略会議は、世界ジオパーク認定を目指す隠岐諸島の豊かな自然や地質などの魅力を伝えるガイドや講師を育成し、地域・観光振興のためのトータル的なプロデュースを担う。
戦略会議は、隠岐4町村(隠岐の島町、西ノ島町、海士町、知夫村)の観光協会と連携し、観光客や専門家が来島時にバスツアー、山登り、シーカヤックなどのジオパーク体験を企画段階から担当するほか、遊歩道巡りなどエコツアーの観光サービスを提供、ガイドとしても同行する。
戦略会議の会員は、「島民が知らなければ、島外の人に教えることはできない」として、隠岐ジオパークの素晴らしさを周知しようと、地元小中高校での授業のほか、各地集会所や職場などで学習会を開催。参加人数は2012年度だけで延べ3,115人に上る。こうした地道な活動は徐々に島民たちに理解され、世界ジオパーク認定に向け大きな支えになっている。
児童や生徒は、授業でこれまで知らなかった隠岐を“見る”ことができ、新鮮な驚きを体感。また「海や山で遊びたい」「子どもに自然を体験させたい」などのさまざまな要望に応えるため、シーカヤックや洞窟ツアーなども提供する。戦略会議の会員は現地に何度も足を運んで自分の目で知識を吸収し、臨場感のある解説を心掛けている。世界的にも珍しい地質と多様な生態系を持つ隠岐諸島には、研究を目的に訪れる専門家も多いが、外国人を含めほとんどの人が道に不案内なため、メンバーがガイドを務めることも多い。
隠岐諸島の地質や自然環境は世界に誇れるものが多いことを住民に周知し、観光振興にも役立てようと発足した戦略会議の活動は着実に実を結びつつある。しかし、さらなる事業の効率化、自主財源の確保といった課題も多い。会員たちは「数年後の観光の質が問われる」と認識し、世界ジオパーク認定をにらんだ将来の観光振興策を模索する。
(写真左:世界認定候補地の西ノ島海岸を案内する会員、写真中央:観光客らに隠岐の自然をガイドする会員、写真右:観光シーカヤックを体験する観光客)
POINT:密着した支援活動を行っています
地域に密着し、企画からガイドまで隠岐ジオパークに関する支援活動をすべて行っている、と自負している。組織の運営維持が大きな課題だが、ボランティアだけでは壁に突き当たる。行政等の支援を得ながら、今後の一つの方策として、戦略会議は一般社団法人化を目指しています。
斎藤 正幸さん
持続可能な活動の実現に向けて結束
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電話番号:(08512)2-9636