2025年4月17日(木)、くにびきエコクラブは「2025年度総会」にあわせ、いきいきプラザ401研修室にて記念講演会を開催しました。講師には、島根大学名誉教授であり、NPO法人フードバンクしまね あったか元気便 理事長の春日邦宣氏をお迎えし、「フードバンクしまね あったか元気便」と題してご講演いただきました。
近年、日本でも深刻化する「貧困」問題と、大量の食品が廃棄される「食品ロス」問題。この二つの問題解決に相互が貢献し合う形で取り組みを展開するフードバンクの活動について、春日先生より詳しくお話を伺いました。当日は、会員、元会員、会員の友人・知人、計29名が参加しました。
講演内容
春日先生は、まず「フードバンクしまね あったか元気便」の活動内容を紹介されました。
・ 個人・団体・企業等からのフードドライブ(食品の持ち寄り)を通じて、お米や食品、お菓子などを集め、「就学援助世帯」の子どもたちと家族に、夏休みなど給食のない「長期休校期間」を中心に年4回、食品等を提供することで「元気」と「安心」を届けている。
・ また、この取り組みを通じて「支える輪づくり」をすすめ、「『困ったとき』は、おたがいさまのまちづくり」、「地域のこどもは、地域のみんなで育てるまちづくり」を目指している。
講演の中で特に印象的だったのは、以下の点です
• 松江市内の子どもの貧困の現状:松江市内小中学校の約15,000人の生徒児童のうち、約15%にあたる2,200人(1,400世帯)が就学援助世帯であり、そのうち約55%にあたる770世帯が支援を希望しているという現状に、参加者からは驚きの声があった。
• 多様な取り組み:あったか元気便が行う、学習機会の格差解消のための「お昼ごはん付き寺子屋(小学生)」や「応援塾(中学3年生)」、体験活動の格差をなくすための稲刈り、カヌー、パン作り、クリスマスパーティーといった活動、さらにはお母さんのためのレスパイト支援など、多岐にわたる取り組みがある。
• 今後の展開:現在の松江市内24校560世帯への支援から、将来的には松江市内の就学援助世帯の約55%にあたる770世帯、そして島根県全域への活動拡大を目指しているという力強いお話があった。
• 子どもの貧困の三要素:「経済性の貧困」「関係性の貧困」「知識の貧困」という3つの側面から子どもの貧困について解説があり、問題の根深さを改めて認識した。
• 子どもの権利条約:全ての子どもが持つ「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」という4つの柱について改めて確認し、子どもたちの健やかな成長を支えることの重要性を再認識した。
• SDGsとの関連性:フードバンク事業が、目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標12「つくる責任 つかう責任」といったSDGsの複数の目標達成に深く貢献していることを学んだ。
• 利用者の声:フードバンクのホームページにも紹介されている利用者の方々からの感謝のメッセージなど生の声を知ることで、活動の意義深さを改めて感じた。(https://foodbankshimane.com/)
受講者の声(一部抜粋)
• フードバンクが、単に食品を提供するだけでなく、学習支援や体験活動の機会を提供することで、子どもたちの成長を多角的にサポートしていることに感銘を受けた。
• 松江市内でこれほど多くの子どもたちが支援を必要としている現状を知り、私たち一人ひとりができることを真剣に考えなければならないと感じた。
• 食品ロス削減が、地球温暖化防止だけでなく、貧困問題の解決にも繋がるということを改めて認識し、日々の生活の中で意識していきたいと思った。
• くにびきエコクラブのこれまでの食品ロス削減に関する啓発活動が、フードバンクの活動と共通する部分があることを知り、今後協力していける可能性を感じた。
今後わたしたちにもできること(詳細は、あったか元気便HPより)
講演の最後に、春日先生より、私たち市民にもできる支援について紹介いただきました。
• お金で応援:食品の購入や配送費用、運営費などを支援できる。
• 時間で応援:食品の箱詰めや配送作業などのボランティアを随時募集している。
• 食品で応援:お米(玄米が基本、古米や冷蔵保存された玄米も可)の寄付を募集している。
• 〔Amazon「みんなで応援」プログラム〕から応援:フードバンクしまね、あったか元気便が選んだAmazonの「ほしいものリスト」から商品を購入することで寄付ができる。
上記について問い合わせ先:
〒690-0017 松江市西津田3-5-16 JAしまね津田支店2階 地域つながりセンター気付
フードバンクしまね TEL: 0852-67-7350 (https://foodbankshimane.com/#recruit)
今回の講演会を通じて、「貧困」と「食品ロス」という二つの社会課題に対し、地域で支え合う仕組みであるフードバンクの重要性を深く理解することができました。くにびきエコクラブとしても、今後「フードバンクしまね あったか元気便」の活動に、微力ながらも協力していければ幸いです。
貴重なご講演を賜りました春日邦宣先生、当日ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後とも、くにびきエコクラブの活動にご理解とご協力をお願いいたします。
(記:北垣 幸久)
添付ファイル(Pdf)
① (P-1~4) 「フードバンクしまね あったか元気便」講演会資料
② (P-5~8) 「フードバンクしまね あったか元気便」講演会資料
③ (P-9~12) 「フードバンクしまね あったか元気便」講演会資料